研究代表者

近藤信彰

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・教授

イラン史・ペルシア語文化圏史研究を専門とする。長年、ワクフ文書などのペルシア語文書研究・法制史研究に従事してきたが、近年は、預言者の叔父を主人公とする『ハムザ物語』などのペルシア語歴史物語の伝播や変容、表現形態について興味を持っている。おもな著作としてIslamic Law and Society in Iran (Routledge, 2017)、最近の論文として「16・17世紀ペルシア語文化圏における講釈と講釈師」『オリエント』64-2、2022、pp. 203–215 など。

拠点構成員・分担者

太田信宏

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・教授

専門は南アジア史。南インド・カンナダ語圏の近世期と植民地期における政治権力と文化との関係について研究を行う。ヒンドゥー教徒が多数を占める南インドの現地語文学・文化に、ムスリムの文化が及ぼした影響についても関心がある。主な編著書に、『前近代南アジア社会におけるまとまりとつながり』(編著、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2017年)。論文として、“Who built ‘the city of victory’? Representation of a ‘Hindu’ capital in an ‘Islamicate’ world,” in Crispin Bates and Minoru Mio eds., Cities in South Asia (Routledge, 2015), pp. 27–44。

大塚修

東京大学大学院総合文化研究科・准教授

専門は前近代の中東地域史。ペルシア語文化圏における歴史叙述を主要な研究対象とし、アラビア文字写本研究にも従事している。主な著書に『普遍史の変貌――ペルシア語文化圏における形成と展開』(名古屋大学出版会、2017年)、『カーシャーニー オルジェイトゥ史――イランのモンゴル政権イル・ハン国の宮廷年代記』(共訳、名古屋大学出版会、2022年)。

大津谷馨

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・特任助教

専門は、メッカ・メディナ史。特に、14世紀~16世紀初頭メッカ・メディナの知識人の活動や地方史叙述について研究してきたが、最近は、特にペルシア語文化圏やオスマン朝における両聖地の地方史アラビア語写本の流通・受容、メッカ・メディナ地方史書のペルシア語やオスマン語などへの翻訳、オスマン朝期メッカ・メディナの歴史叙述に関心を持っている。主な論文は以下の通り。“Mālikī Imams of the Sacred Mosque and Pilgrims from Takrūr.” Chroniques du manuscrit au Yémen 25 (2018): 53–72; “Marriages of Meccan Scholarly Families in 650–850/1252–1446.” Orient: Journal of the Society for Near Eastern Studies in Japan 54 (2019): 105–125; “Abū Muḥammad ʿAbd Allāh b. Muḥammad b. Farḥūn’s History of Medina.” Proceedings of the Sixth Conference of School of Mamluk Studies. Leiden: Brill, forthcoming.

岡崎弘樹

亜細亜大学国際関係学部・講師

専門は、アラブ近代政治思想、および現代シリア文化研究。19 世紀以来のアラブ人思想家による自己批判の精神史、ならびに1967年以降のシリアにおける思想・文学・映画の展開に関心を寄せる。著書に『アラブ近代思想家の専制批判―オリエンタリズムと<裏返しのオリエンタリズム>の間』(東京大学出版会、2021)、訳書にヤシーン・ハージュ・サーレハ著『シリア獄中獄外』(みすず書房、2020)など。

小倉智史

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授

専門は前近代南アジア史。サンスクリット語とペルシア語という二つの普遍語と、多数のヴァナキュラー言語が併用される環境での、社会形成、王権、宗教アイデンティティ、翻訳、思想交流、歴史叙述などを研究している。代表的な業績に、“Incompatible Outsiders or Believers of a Darśana?: Representations of Muslims by Three Brahmans of Šāhmīrid Kašmīr,” Rivista degli Studi Orientali 88 (1-4), 2016, pp. 179–214; “In This Corner of the Entangled Cosmopolises: Political Legitimacies in the Multilingual Society of Sultanate and Early Mughal Kashmir,” Journal of Persianate Studies 12 (2), 2019, pp. 237–260 など。サンスクリット古典のペルシア語訳を網羅的にサーヴェイする国際共同研究プロジェクトPerso-Indica(www.perso-indica.net/)に参加。

苅谷康太

東京大学大学院総合文化研究科・准教授

私は、西アフリカのイスラーム史、特に19世紀のソコト・カリフ国の歴史に関心を抱いています。主にアラビア語やハウサ語の史料を用いて、同国の支配層の思想や、同国の政治や社会の様相を明らかにしたいと思っています。近著に、 “A Treatise on Zinā in the Early Sokoto Caliphate: Muḥammad Bello’s al-Qawl al-Marham,” Journal of Asian and African Studies 101, 2021, pp. 5–17; “Free Choice Theory and the Justification of Enslavement in the Early Sokoto Caliphate,” Islamic Africa, 11 (1), 2020, pp. 1–41; “A Letter from Muḥammad al-Amīn al-Kānemī to a Fulani Muslim Community in Bornu,” Journal of Asian and African Studies 99, 2020, pp. 77–87.

神田惟

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・助教

専門はイスラーム美術史。とりわけ、中世から近世にかけて、北アフリカ、西アジア、南アジアで制作された美術工芸品(陶器・タイル、金属器、および挿絵入り写本)を主な研究対象とする。主な論文に “‘If I Circumambulate around Him, I Will Be Burnt’: A Brass Candlestick Endowed to the Mausoleum of Imām Mūsā al-Kāẓim, Kazimayn,” Iran: Journal of the British Institute of Persian Studies (forthcoming); “Kashan Revisited: A Luster-Painted Ceramic Tombstone Inscribed with a Chronogram Poem by Muhtasham Kashani,” Muqarnas 34, 2017, pp. 273–86 がある。現在取り組んでいる研究テーマのうちの一つとして、近世ペルシア語文化圏における動物寓意譚『カリーラとディムナ』や、その派生版テキストの受容史が挙げられる。

後藤絵美

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・助教

イスラームに対する現代の人々の理解や実践に関心をもつ。近年は文化圏を越えた対話やジェンダーについて研究を行っている。主な著作に『神のためにまとうヴェール――現代エジプトの女性たちとイスラーム』(中央公論新社、2014年)、『イスラームってなに? イスラームのおしえ』(かもがわ出版、2017年)、『マイノリティとして生きる――アメリカのムスリムとアイデンティティ』(東京外国語大学出版会、2022年)。

坂井弘紀

和光大学・教授

専門は中央ユーラシア文化史、テュルク口承文芸研究。中央アジアのテュルク系諸民族の英雄叙事詩を研究する。主な著訳書に『ウラル・バトゥル』(平凡社東洋文庫、2011年)、『アルパムス・バトゥル』(平凡社東洋文庫、2015年)、「テュルクの英雄伝承」「中央ユーラシアの『チョラ・バトゥル』」『英雄叙事詩』(荻原眞子、福田晃編著)(三弥井書店、2018年)、“Turkic Heroic epic tale Er Toshtuk and Japanese Mythology,” «Si est tens a fester»: Hommage à Philippe Walter, edited by Kôji Watanabe, CEMT Editions (Tokyo), 2022.

中西竜也

京都大学人文科学研究所・准教授

専門は東洋史、中国ムスリム史研究。中国ムスリムが如何に彼らのイスラーム信仰・実践を維持しつつ非ムスリムの隣人たちと共生してきたかを研究してきた。最近は、その共生努力の中で、19世紀以降の中国ムスリムが、西・南・中央アジア由来の新しいイスラーム思想に如何に応答したかに関心がある。主な著作に『中華と対話するイスラーム――17-19世紀中国ムスリムの思想的営為』(京都大学学術出版会、2013年)、“After Criticism of Ma Dexin against Veneration of Saints: Rethinking Chinese Elaboration of Islam,”『Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies(イスラーム世界研究)』 14, 2021, pp. 138–161.

野田仁

東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授

専門はカザフスタンと新疆を中心とする中央アジア史で、ロシア・中国の双方との関係史を主な対象にしている。近年は近代日本が中央アジアを含むイスラーム地域をどのように見ていたのかについても研究を進めている。主な著書は以下の通り。The Kazakh Khanates between the Russian and Qing Empires: Central Eurasian International Relations during the Eighteenth and Nineteenth Centuries (Brill, 2016); (Co-editor) Emigrants/Muhacir from Xinjiang to Middle East during 1940–60s (Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies, 2019).

福岡正太

国立民族学博物館/総合研究大学院大学・教授

専門は民族音楽学。マスメディアと音楽の関係に関心をもち、ラジオ放送やレコードの中のスンダ音楽について調査するほか、民博が所蔵する日本統治下の台湾や朝鮮音楽のレコード原盤についての研究を進めている。共著に『現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇』(めこん、2022年)、『東南アジアのポピュラーカルチャー――アイデンティティ・国家・グローバル化』(スタイルノート、2018年)などがある。

山中由里子

国立民族学博物館/総合研究大学院大学・教授

専門は比較文学比較文化。単著に『アレクサンドロス変相―古代から中世イスラームへ』(名古屋大学出版会、2009年)。編著に『<驚異>の文化史―中東とヨーロッパを中心に』(名古屋大学出版会、2015年)、『この世のキワ<自然>の内と外』(勉誠出版、2019年)など。『アレクサンドロス変相』が日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞などを受賞。国立民族学博物館 2019 年秋の特別展「驚異と怪異―想像界の生きものたち」の実行委員長。

研究協力者

  • ピーター・グッド(日本学術振興会/東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
  • ペーガ・シャーバーズ(トロント大学)
  • 細田和江(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
  • ニコラス・マンジャラーディ(ウイリアムカレッジ)
  • 水上遼(日本学術振興会/東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
  • ザヘラ・モハッラミプール(日本学術振興会/国立民族学博物館)
  • 山本久美子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)