人間文化研究機構グローバル地域研究推進事業
グローバル地中海地域研究+環インド洋地域研究 合同ワークショップ「近代アジアにおける認識論的自己/他者の具象化―思索するモノと地域研究的方法論をめぐって」

2024.02.21

日時 2024年2月21日(水)15:00–18:00
場所 オンライン会議室
使用言語 日本語
共催 環インド洋地域研究国立民族学博物館拠点、グローバル地中海地域研究国立民族学博物館・東京外国語大学AA研拠点

プログラム

15:00-15:05 開会挨拶 三尾稔(環インド洋地域研究国立民族学博物館拠点代表)
15:05-15:10 趣旨説明 黒田賢治(国立民族学博物館)
15:10-16:00 報告1 「西洋」と「東洋」の狭間――20世紀初頭の日本におけるペルシア美術理解の二面性
ザヘラ・モハッラミプール(日本学術振興会/国立民族学博物館)
16:00-16:10 休憩
16:10-17:00 報告2 植民地博覧会におけるインドの自己/他者表象とアジア観
豊山亜希(近畿大学国際学部)
17:10-17:20 休憩
17:20-18:00 コメント・総合討論 コメンテーター 稲賀繁美(京都精華大学)

趣旨

本ワークショップは近代の日本、インドそしてペルシアをめぐる認識論的・存在論的な自己/他者の境域の展開について、思索を具象化させるモノとその配置に着目し、従来の言説分析を超えた研究方向の可能性とグローバル現象をめぐる地域研究的なアプローチ方法について検討することを目的としている。 『東洋の理想』における岡倉天心の「アジアは一つである」という書き出しはアジアと東洋との関係のうえで一つの歴史的な瞬間であった。ギリシア語に語源を辿ると「東(asu)」を指すアジアはヨーロッパ人の手によって地図の上に記され地理学的概念である。他方、元来中国では東洋は大陸の東の海を指す語であり、日本で独自の意味を持つようになった語である。18世紀の日本において元来中国で「西洋」は南洋の西側の大海を意味する海域を指す語が、一つのまとまりとしてのヨーロッパ諸国を指す語として発明されたことを契機としながら、西洋への心的・文化的対抗概念として東洋は概念的空間を伸縮拡大させてきた。それゆえ岡倉の言明は、アジアというヨーロッパによる他称であった地理空間が、日本の発明である東洋概念とが自己同一化されたという意味で歴史的な重要性をもった。もっともアジアそのものも地理的概念でありつつも、近現代アジアの諸地域において思想的な連鎖を伴いながら自己同一性の問題として伸縮拡大してきたことが知られている。つまりアジアも西洋/東洋も存在論的・認識論的な自己/他者をめぐって境域が再設定されてきたことが知られている。 こうした概念的な境域の再設定をめぐっては、アジア主義をめぐる歴史・思想研究のように主として言説に焦点を当てた研究がけん引してきた。これに対して本ワークショップでは認識論的自己/他者を具象化するモノとその配置に焦点をあてることで、従来の言説分析を超えた研究方向の可能性とともに、グローバル現象をめぐる問題設定と地域研究的なアプローチ方法について検討したい。